= 北海道物産展 2 =
「今日のおやつは桃花堂のスイートポテト〜♪」 物産展様々だね〜♪なんて鼻歌交じりにお茶の準備する様は本当に楽しそうだ。 そんな快斗を見て、新一は怪訝そうに問う。 「…? 北海道物産展? この間終わらなかったか?」 数日前に最終日だと言って騒いでいた記憶がある。 「ああ、この間のとは別のデパート。たまたま通り掛かったらやってたからさ〜♪」 ついついね、と笑う。 流石に外せない所はあるけれど、ラインナップが違って、それもまた楽しいのだと。 そう話す間にも淀みなく準備は進められて行く。 毎日ではないけれど、恒例となったお茶会。 メンバーは基本的に哀を含めた3人だ。 新一が警察からの要請を受けて不在だったり、博士が混じったりの増減はあるものの、快斗と哀は固定メンバーとなっている。 そもそも快斗がいなければ(面倒臭がって)お茶会など成立していないだろう。 余りにも楽しそうな快斗に、何となく新一の機嫌が下降する。 自分に関係のないところでこんなに嬉しそうにしているのが気に入らないらしい。 我侭と言うか俺様と言うか。 「…『北海道物産展』と言えば、当然『海の幸』も欠かせねーよなぁ…?」 びくり、と。 あからさまに返る反応に、嗜虐心が掻き立てられて仕方ない。 「昆布とかの海藻類だろ、塩辛とかに加工したイカにエビ、明太子にいくらに」 「メイタンテイ」 「…何だ?」 発言を遮る冷たく硬い声に、退き時を誤った事を悟り、内心焦る。 「一応聞くけど俺メイタンテイに何もしてないよね」 「……」 「否定しないって事はそうだよね。要するにさっきの発言の数々は俺に対する嫌がらせ以外の何物でもないよね」 「…………」 「分かった。メイタンテイ、向こう一ヶ月接触禁止」 「はッ?!」 「当然俺から会いに来たりなんてしないからそのつもりで。じゃあな」 「ちょっ、待…!」 ほぼ整いかけていたお茶の準備はそのまま放置し、おやつだけはきっちり持ってあっさり鮮やかに退場した「怪盗」の二つ名を持つ人に、残された探偵は為す術もなく固まった。 しまったと思っても後の祭り。後悔というのは後になって悔やむから後悔と言うのである。 「馬鹿ね」 実は一部始終を見守っていた哀は、その一言だけを残して工藤邸を後にした。 こっそり阿笠邸に潜り込み、哀を待っているだろうヒトと、お茶会をやり直すために。
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