意識を失う寸前の、責めるような 咎めるような瞳が忘れられない






















強制的に奪った


「忘れて」


意識と――――


「思い出さないで」


記憶の、一部





自分達は、『怪盗』 と 『探偵』 以外の出逢いは果たしていないのだと――――




















意識の無い小さな探偵の頬に、パタ、と微かな音を立てて水滴が落ちた

白い手袋に包まれたしなやかな手が、そっとその雫を拭い、探偵の前髪を優しくかき上げる


現れた額に、瞼に、鼻先に、頬に


羽根のように軽い、触れるだけのキスを落とす










そして唇へ











最初で 最後の 口付けを




















「さよなら」
















 

 

 

 

「――――なーんて展開はどうよ、探偵クン?」

「却下ッ!!」

にやにやと。
そう。『月下の奇術師』 等と謳われるイメージにあるまじく 『にやにやと』 としか形容のしようのない笑みを浮かべて怪盗が紡いだ戯言を、探偵は寸分の躊躇いも一片の情け容赦も無く切って捨てた。

「あ、やっぱり? 参考までに訊くけど、どの辺が気に入らない?」

「んなの、どこもかしこも全部に決まってんだろ!」

「・・・なるほどねぇ? ま、俺にキスされたって嬉しくないどころか嫌がらせだろうしな?」

口角を上げ不敵な笑みを見せる怪盗は、疑問形で言葉を紡ぎながらも何かを確信しているようで。

「・・・・・・」

「心配しなくても名探偵にはしないって」

「・・・ちょっと待て。 『には』 ってコトは、他のヤツにはするのか?!」

「マウス・トゥ・マウスじゃねーんだから良いじゃねぇか別に。一種のサービスだろ」

「・・・因みに訊くが、オレにはしない、その理由(ワケ)は?」

「あぁ、だってちみっこ探偵クンの場合、唾液摂取の上、遺伝子鑑定ぐらいやってくれそうだから」

あの赤い魔女をして「悪魔のような狡猾さ」と言わしめる抜け目の無さと、信じ難いほどの慧眼を持ちながら、妙なところで見事なまでにスコンと何かが抜けているのだから笑わせてくれる。
憮然と問い掛けるその意味を。不機嫌になる感情の要因を。自覚などしていないのだ、きっと。

くつくつと、湧き上がる笑みを噛み殺しながら暇を告げる。

「今日のところはこの辺で。邪魔したな」

「結局何しに来たんだよオメー・・・」

「ん? 『探偵クンの知らない予告』時間までの暇潰し?」

「な・・・っ?!」

「じゃーな、メイタンテイv」

からかうようにウィンクと投げキスを残して鮮やかに消え去った怪盗に。

「・・・っざけんな―――――― ッ!!!」

残されて全身で叫ぶ探偵と、出現先で腹を抱えて爆笑する怪盗の姿が、あったとかなかったとか?









END
2004.11.21
暗黒聖騎士(黒)




おえび超絶短期連載品に加筆修正。
最初に素敵反応&続編希望を下さった広都様と、恥の上塗り覚悟でぶらかい同盟に進呈させて頂きます(笑)

灰子>ゴチになり申したっ! m(_ _)m

スーーーテーーーキィーーーーーーーーッ♪(ノ´▽`)ノ←歓喜の余り飛び付き隊(去ね!)

頂いてしまいましたよ、コンチクショウ!!(喜びの余り錯乱中)ぶら快(怪)布教作品として、暗黒聖騎士様よりこんな萌え黒怪盗作品げっちゅ! やっぱりポインツは「ムーディーに始まり、ブラックにオトす」。そして、名探偵虐めはぶら快(怪)の基本です(え? そうなん??)腹を抱えて大爆笑される怪盗紳士(純白の衣装を纏う腹黒)、これぞまさに「ぶら快(怪)」の王道! 素晴らしき秀作・参考作品です!! 布教、布教♪ 「不敵・素敵・無敵な怪盗(快斗)←でも、受け属性」を世に知らしめよ!!

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